広島の財務コンサルが解説|銀行から「いくら借りるべき?」借入額を感覚で決めないための考え方

2026.10.01

「銀行から融資の提案を受けたけれど、借りた方がいいのだろうか」

「借りられるなら、できるだけ多く借りておいた方がいい?」

「借金は怖いから、なるべく借りない経営の方がいい?」

経営をしていると、一度は「借入」について悩む場面があると思います。

設備投資をしたい。

新しい人材を採用したい。

新店舗を出したい。

新規事業を始めたい。

あるいは、特に大きな投資予定はなくても、金融機関から融資の提案を受けることもあります。

このとき、多くの経営者が考えるのが、

「結局、いくら借りればいいんだろう?」

ということです。

ただ、この質問に「○○万円が正解です」と一律に答えることはできません。

会社によって売上も違えば、利益も違う。

毎月出ていくお金も違う。

すでにある借入金の残高も違う。

これから行う投資も違います。

そして何より、

経営者がこれから会社をどうしていきたいのか

によって、必要な資金は大きく変わります。

広島で財務コンサルを探している経営者の方の中にも、「借りられる金額」は分かっていても、「自社はいくら借りるべきなのか」までは判断できていない方がいらっしゃるかもしれません。

今回は、篠永コンサルティングオフィスが大切にしているキャッシュフローの考え方から、借入をどう考えるべきなのかをお伝えします。

「借りられる金額」と「借りるべき金額」は違います

まず、最初にお伝えしたいことがあります。

それは、

銀行から借りられる金額と、自社が借りるべき金額は同じではない

ということです。

金融機関は、会社の決算内容やこれまでの取引状況、返済実績など、さまざまな情報から融資を判断します。

その結果、

「○○万円までなら融資できます」

という話になることがあります。

経営者からすると、

「銀行が貸してくれるのだから、その金額まで借りても大丈夫なのだろう」

と思うかもしれません。

しかし、金融機関が融資できると判断した金額と、自社の経営計画に必要な金額は別です。

たとえば、3,000万円借りられるとしても、会社の目的に必要なのが1,500万円なら、残りの1,500万円を何に使うのでしょうか。

反対に、これから大きな設備投資や採用を予定していて、本当に必要な資金が4,000万円なのであれば、3,000万円の融資だけで計画を進めることにもリスクがあります。

だから借入を考えるときに最初に見るべきなのは、

「いくら借りられるか」

ではありません。

「何のために、いくら必要なのか」

です。

「借金は悪いもの」という考え方だけで判断しない

借入に対して抵抗感を持つ経営者は少なくありません。

「できれば無借金経営にしたい」

「借金があると落ち着かない」

「早く返してしまいたい」

そう思う気持ちはよく分かります。

もちろん、不必要な借入を増やす必要はありません。

返済できないほど借りるのは当然避けるべきです。

しかし、

借入がある=悪い会社

ではありません。

会社経営では、資金を先に投入することで将来の利益をつくる場面があります。

たとえば、1,000万円の設備を導入することで生産能力が大きく上がり、今後何年間にもわたって利益を生み出せるとします。

会社に現金が1,500万円あるからといって、すべて現金で購入すれば、手元には500万円しか残りません。

その後も、

給与。

仕入れ。

家賃。

税金。

社会保険料。

その他の経費。

さまざまな支払いが続きます。

そんな中で売上が一時的に落ちたり、取引先からの入金が遅れたりしたらどうでしょう。

「借金をしなかった」という安心感はあっても、会社の資金繰りはむしろ不安定になるかもしれません。

だから借入は、

怖いか、怖くないか

だけで考えるのではなく、

会社のキャッシュフローを安定させ、未来の利益をつくるためにどう活用するか

という視点で考える必要があります。

現金で買える設備でも、あえて借入を使う選択肢がある

設備投資は、この考え方が分かりやすい場面です。

仮に会社の現預金が3,000万円あるとします。

そして1,000万円の設備を購入することになりました。

現金で買うことはできます。

購入後も2,000万円残ります。

数字だけを見ると、

「借入する必要はない」

と思うかもしれません。

しかし、ここで考えたいのがその後のお金の流れです。

半年後に納税がある。

賞与の支払いがある。

新しい社員を二人採用する予定がある。

さらに、もう一つ設備投資を検討している。

そうであれば、今の1,000万円をすべて現金で支払うことが、本当に最適なのでしょうか。

たとえば一部を借入で賄い、手元資金を厚く残す方法もあります。

もちろん借入をすれば利息が発生します。

しかし、利息だけを見て、

「現金で払った方が得」

と考えるのは少し早いかもしれません。

会社に十分な現金があることで、

急な支払いに対応できる。

新しい投資機会が来たときに動ける。

売上が一時的に下がっても社員の給与を守れる。

経営者が資金繰りに追われず、本業に集中できる。

こうした価値もあります。

財務では、

支払う利息だけでなく、手元に現金を残しておく意味

まで含めて判断する必要があります。

借入で見るべきは「返済できるか」だけでもない

借入を検討するとき、

「毎月の返済額はいくらになるのか」

を確認することは非常に重要です。

しかし、

「毎月30万円なら払えそう」

だけで決めるのも十分ではありません。

なぜなら、会社には借入返済以外にも多くの支払いがあるからです。

給与。

仕入れ。

家賃。

税金。

設備費。

社会保険料。

賞与。

その他の固定費。

借入返済だけを切り離して考えるのではなく、

すべての支払いを行った後でも、会社に必要な現金が残るか

を見る必要があります。

ここでキャッシュフローの考え方が重要になります。

現在いくら現金があるのか。

毎月いくら入ってくるのか。

毎月いくら出ていくのか。

借入するといくら増えるのか。

毎月の返済でいくら減るのか。

納税時期にはいくら必要なのか。

その結果、半年後、一年後に現金はいくら残るのか。

ここまで見れば、

「返済できそう」

から、

「この返済計画なら会社を安全に運営できそう」

という判断に変わります。

借入期間が変わればキャッシュフローも変わる

借入額と同じくらい重要なのが、返済期間です。

たとえば同じ1,200万円を借りたとしても、短期間で返済する場合と長期間で返済する場合では、毎月会社から出ていく現金が変わります。

返済期間を短くすれば、早く借入残高を減らせます。

一方で、毎月の返済負担は大きくなります。

返済期間を長くすれば、総支払利息などは変わりますが、月々の資金負担を抑えられる場合があります。

どちらが正解という話ではありません。

重要なのは、

会社のキャッシュフローに合っているか

です。

特に設備投資の場合、その設備が何年間にわたって利益を生み出すのかという視点も重要です。

長期間使う設備に対して、極端に短い返済期間を設定すれば、投資直後のキャッシュフローが苦しくなることがあります。

「できるだけ早く返した方が安心」

という心理だけではなく、

会社のお金が無理なく回る返済計画になっているか

を考えることが大切です。

借入を早く返せば会社は安全になる?

「利益が出たから、借入を繰り上げ返済しよう」

これも経営者が悩みやすいテーマです。

借入残高が減ること自体は悪いことではありません。

しかし、ここでも「返済した後」を見る必要があります。

たとえば、

現預金2,500万円。

借入残高2,000万円。

という会社があったとします。

経営者が、

「借金を減らしたいから1,500万円返そう」

と考えた。

返済後、借入残高は500万円になります。

かなり身軽になったように見えます。

しかし現預金も1,000万円になっています。

その会社が毎月500万円程度の支払いを必要とする会社なら、どうでしょう。

2か月分程度しかありません。

そこへ納税や賞与、大きな設備修理が重なれば、一気に資金が減ります。

場合によっては、

借入残高は少ないのに、資金繰りは以前より苦しい

という状態になります。

これは本末転倒です。

借入を減らすことそのものをゴールにするのではなく、

会社が安全に経営できる現金を確保しながら、計画的に返済していく。

このバランスが重要です。

お金は「あるとき」より「ないとき」に借りにくい

借入について、もう一つ経営者の方に知っておいてほしいことがあります。

それは、

「本当にお金がなくなってから借りればいい」とは限らない

ということです。

会社に十分な利益が出ていて、財務状況も良く、資金に余裕があるとき。

経営者からすると、

「今はお金に困っていないから借りなくてもいい」

と思うかもしれません。

その判断が間違いとは限りません。

ただ、資金繰りが悪化し、

「来月の支払いが厳しいから、すぐ融資してほしい」

となったとき、必ず希望どおりに借りられるとは限りません。

金融機関も会社の返済能力を見て判断するからです。

だから借入は、

お金がなくなったときだけ考えるものではありません。

会社の事業計画や資金計画をもとに、

「今後これくらいの資金が必要になる」

と早めに考えておくことが重要です。

経営において、「資金が尽きてから考える」では遅いことがあります。

借入の目的が曖昧だと、会社のお金も曖昧になる

借入をするなら、私は必ず、

「何のためのお金なのか」

を明確にしてほしいと思っています。

設備投資なのか。

運転資金なのか。

採用なのか。

新規事業なのか。

店舗出店なのか。

一時的な資金需要への対応なのか。

目的が明確であれば、

必要金額。

借入期間。

返済計画。

投資後に必要な売上。

必要な粗利。

こうした数字を考えることができます。

逆に、

「とりあえず借りられるから借りておこう」

だけでは、その資金がいつの間にか通常の支払いに消えてしまうことがあります。

気づいたときには、

「借りた3,000万円、結局何に使ったんだろう」

となってしまう。

これは避けたいところです。

借入は会社にとって重要な経営資源です。

だからこそ、

借りたお金が会社の未来にどうつながるのか

を考える必要があります。

「借入して投資したら、いくら売上が必要?」を逆算する

たとえば、新しい設備を導入するために借入をするとします。

ここで、

「設備代はいくらか」

「毎月の返済はいくらか」

だけを見るのではなく、もう一歩先まで考えます。

設備を導入することで、固定費はいくら増えるのか。

人を増やす必要はあるのか。

メンテナンス費用はいくらかかるのか。

そして、その投資を成立させるためには、粗利をいくら増やす必要があるのか。

必要な粗利が分かれば、自社の粗利率から必要な売上を逆算できます。

すると、

「1,000万円借りて設備を買う」

という話が、

「この投資によって、年間○○万円の粗利を増やす」

という経営計画に変わります。

ここまで考えて初めて、借入が単なる「借金」ではなく「投資のための資金調達」になります。

私は、財務とはこういう意思決定のためにあるものだと思っています。

お金のブロックパズルで借入を考える

財務というと、難しい計算をしなければならないイメージがあるかもしれません。

しかし、経営者が会計の専門家になる必要はありません。

篠永コンサルティングオフィスでは、「お金のブロックパズル」を活用し、会社のお金の流れをできるだけシンプルに捉えることを大切にしています。

売上が入る。

変動費が出る。

粗利が残る。

そこから人件費などの固定費を支払う。

利益が残る。

税金や借入返済などを考える。

最終的に会社に現金が残る。

借入をしたときには、この流れに、

「会社に入ってくる借入金」

と、

「今後出ていく返済」

が加わります。

すると、

「借りることで現在の現金は増える。でも、将来の支払いも増える」

という構造が見えます。

ここを理解すれば、

「借金だから怖い」

「銀行が貸してくれるから借りる」

という二択ではなく、

会社のお金全体を見て判断できる

ようになります。

目指しているのは、経営者が複雑な会計をすべて理解することではありません。

2割の会計知識で、8割の経営判断ができる状態をつくることです。

借入の判断には「会社のビジョン」が必要です

ここまで借入について数字の話をしてきました。

しかし、最後はやはり、

「会社をどうしたいのか」

に戻ってきます。

今後5年間、現在の規模で安定経営を続けたい会社。

3年間で社員を倍にしたい会社。

新店舗を複数出したい会社。

新規事業に挑戦したい会社。

後継者への事業承継を考えている会社。

目指す未来が違えば、必要なお金も違います。

だから、

「借入はいくらまでなら大丈夫ですか?」

という質問だけでは、本当の答えは出せません。

その前に、

「何を実現したいですか?」

を考える必要があります。

実現したい未来がある。

そのために必要な投資が分かる。

必要な資金が分かる。

自己資金でどこまで出すのかを考える。

不足する部分をどう調達するか考える。

そして返済後も会社に十分な現金が残るか確認する。

この順番です。

借入額から経営を考えるのではなく、未来から必要な借入額を逆算する。

私は、この考え方が非常に重要だと思っています。

財務コンサルは「借りる・借りない」を決める人ではありません

広島で財務コンサルを探している方の中には、

「コンサルに相談したら、借入した方がいいと言われるのでは?」

あるいは、

「経費を減らして借金を返しましょうと言われそう」

と考える方もいるかもしれません。

しかし、篠永コンサルティングオフィスが目指しているのは、一方的に答えを決めることではありません。

借りるのか。

借りないのか。

いくら借りるのか。

何年で返すのか。

最終的に決断するのは経営者です。

私たちが大切にしているのは、

その決断に必要な数字を見える状態にすること。

現在のキャッシュフロー。

将来のキャッシュフロー。

投資後の現預金。

必要な手元資金。

返済額。

売上目標。

粗利目標。

こうした数字を一緒に確認したうえで、

「この計画なら進められそうですね」

「この条件では少し手元資金が薄くなりますね」

と考えていく。

経営者の代わりに経営するのではなく、経営者が自信を持って判断できる状態をつくる。

篠永コンサルティングオフィスが目指す「社外No.2」という存在も、こうしたところにあります。

広島で財務コンサルを探している経営者の方へ

借入は怖い。

だから借りない。

銀行が貸してくれる。

だから借りる。

どちらも、経営判断としては少しもったいないと私は思います。

本当に考えたいのは、

何のために借りるのか。

いくら必要なのか。

借りた後、会社にいくら現金が残るのか。

毎月いくら返済するのか。

その返済をしながら会社を安全に運営できるのか。

借りたお金を使って、どんな未来をつくるのか。

ということです。

そして、借入について考えることは、会社全体のお金について考えることでもあります。

売上。

粗利。

固定費。

利益。

税金。

返済。

手元資金。

これらはすべてつながっています。

だから「融資のことだけ」を切り離して考えるのではなく、会社のお金全体を一枚の地図として見る。

そうすれば、借入に対する漠然とした怖さは少しずつ具体的な判断材料に変わっていきます。

財務は、借金を減らすためだけのものではありません。

会社のお金を守るためだけのものでもありません。

経営者が、やりたいことに安心して挑戦するためのものです。

設備を導入したい。

人を採用したい。

新しい店舗を出したい。

新規事業を始めたい。

社員にもっと還元したい。

その未来を実現するために資金が必要なら、借入も一つの選択肢になります。

重要なのは、

「借りられるから借りる」のでも、

「借金が怖いから借りない」のでもなく、

「この未来を実現するために、この金額を、この条件で借りる」

と説明できる状態をつくることです。

篠永コンサルティングオフィスは、広島でキャッシュフローを軸に会社のお金を見える化し、借入、設備投資、採用、報酬、売上目標など、経営者の意思決定に伴走しています。

借入を「不安」から決めるのではなく、「根拠」から決める。

そのために、まずは自社のお金が今どこにあり、これからどのように動くのかを把握するところから始めてみてください。

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